2006年09月28日

●オークション世界最大手の米eBayがSNSに一歩近づいた?

世界で最大のオークション市場を持つ米eBayが27日に新サービス「My World」を発表した。もしかするとeBayはソーシャルなサービス、SNSに興味を持っているのかも知れない。

[eBay My World]
http://myworld.ebay.com
[eBayの発表文]
http://www2.ebay.com/aw/core/200609.shtml#2006-09-27145139

eBayの発表だけを見ると「My World」は単に自分のプロフィールページをちょっと拡張しただけ、と言えるかも知れない。でも本当にそれだけだろうか?なぜ単に「About Me」だった名前を「My World」という意味深な名前に変えたのだろうか?

My Worldの機能は以下の通り。

フィードバック:オークション市場での自分の評価が一番上に表示される。
リスティング:現在出品している商品一覧が表示される。
写真あるいはアイコン:自分の写真か、30種類のアイコンから選ぶことが出来る。
自己紹介:自己紹介を書く。趣味でも出品ポリシーでもなんでもいい。書きたいことが書ける。検索しやすいようにタグも付けられる。
レビュー:自分が書いた商品のレビューや、「ガイド」と呼ばれるオークションのコツなどを書いた文章をここに表示させられる。
ブログ:eBay Blogのエントリーを表示させられる。
ストア:eBay Storeを持っている人はここにストアモジュールを貼り付けられる。

と、こんな感じだ。

これであとSNSと違うところと言えば、友達を紹介したりされたり、コメントする機能くらいだろうか。

もしeBayに友達を紹介したり、関連づける機能が追加されたら、それこそ最強のSNSになる可能性がある。なにせ自分が何を売買しているか、どれほど信頼できる人間かが評価されるのだから。そして友達や友達の友達だけを対象にした「クローズドオークション」ができたら、もっと気楽に売買が成立するかも知れない。少なくともこれまでよりも犯罪は起こしにくいだろう。それにSNSとしても人への「信頼」をある程度客観的に評価できる尺度があるというのは便利そうだ。

2006年02月21日

●MITのビデオ講義一覧

MITはオープンコースウェアとして講義資料などを公開しているの。ここで全講義をビデオで公開する授業も増えてきた。当初は電磁気学の講義くらいしか見るものがなかったのだが、現在では電子回路や偏微分方程式、生物学概論など、色々だ。

[MIT OpenCourseWare ビデオ及びオーディオ講義一覧]
http://ocw.mit.edu/OcwWeb/Global/OCWHelp/avocw.htm

オープンコースウェアはやはりビデオで講義を全部公開してやっと意味を持つと思う。シラバスと試験問題くらいでは効果は半減する。ではなぜ全部の講義をビデオで公開しないのか。MITでは一つの理由としてコストを挙げている。

Another key concern about video is cost. The technology for compressing and storing video becomes more and more affordable by the day, but it is still not affordable, or feasible from a production standpoint, for us to be compressing 20 video lectures for all 1250 of our courses. MIT OCW does not have that kind of storage capacity at this time.

MITには全部のビデオ講義をホストできないというのだ。これはもったいない。

ここでちょっとした憶測して、GoogleがMITと提携する、ということはありえないことだろうか?GoogleならMITの全講義をビデオで公開するのは造作もないことだ(Google Videoがあるし)。それに「全世界の情報を整理して検索できるようにする」というGoogleの理念とも一致する。しかもMITの優秀な頭脳はGoogleにとっては大きな魅力だろう。まさかGoogleがMITのライバルであるスタンフォード出身であることは障害には成るまい....。

日本でもオープンコースウェアが行われている。

[日本 OCW 連絡会]
http://www.jocw.jp/sub1.htm

けれど残念なことにどの大学もMITの情報量には遠く及ばないように思う。大学教育の理念が根本的に異なるのかも知れない。

2006年02月17日

●コンピュータサイエンスの講義大学4年分が丸ごとネットで公開中

ArsDigita Universityは閉校してしまった「大学」だ。「大学」と書いたのは、学位がもらえるわけではなくて、学位目当てではない、本当にコンピュータサイエンスを勉強したい人だけが入校できる一種の非営利専門学校だったからだ。名前はUniversityだけど。

ここのカリキュラムはMITやスタンフォードなどのトップ校と匹敵するレベルを目指すと謳われており、優秀な講師陣もボランティアで教えた。

この講義がネットで丸ごと公開されているのである。講義の動画、小テスト、試験問題、課題なども全部である。しかもクリエイティブコモンズライセンスで。

どんな内容かはここからも見られる。

http://www.aduni.org/courses/

カリキュラムはこんな感じ。

Math for Computer Science - Tara Holm

Structure and Interpretation of Computer Programs - Holly Yanco

Discrete Math - Shai Simonson

How Computers Work - Gill Pratt

Object-oriented Program Design - David Goddeau

Algorithms - Shai Simonson

Systems - Luis Rodriguez

Web Applications - Philip Greenspun

Theory of Computation - Shai Simonson

Artificial Intelligence - Patrick Winston

Unix Workshop

Database Management Systems - Ravi Jasuja

Applied Probability - Tina Kapur


講義のファイルはReal形式で公開されているが、いかんせんサーバーが重く、なかなかまともには見られないのが残念だ。最近嬉しいことに一部の講義がGoogle Videoにアップロードされ始めた。

http://video.google.com/videosearch?q=ADuni

問題なのは講義が全部英語であること(当たり前か)。日本人、特にこの講義を必要としている人たちには厳しい条件かも知れない。クリエイティブコモンズライセンスで配布されているのだから、誰か日本語の字幕スーパーを入れたりしてくれないものだろうか。ちなみに講義全部をDVD-Rに焼いてくれるサービスもやっているそうだ。

2006年01月31日

●メロディーを検索できる音楽サーチエンジン

音、画像、動画、などは検索しにくいコンテンツの代表で、もっと技術開発が進まなければならない分野なのは明らかだ。あるメロディーを探したい場合、最近は携帯電話に鼻歌を歌うと検索できるサービスが登場しているが、これから紹介するMusipediaはちょっと違う方法だけど、もっと汎用性を持たせているメロディーサーチエンジンだ。

[Musipedia]
http://www.musipedia.org/

メロディーをどうやって検索するのか?それにはParsons Codeという手法を使う。音符が前の音符よりも上がっていたら「U」(Upの略)、下がっていたら「D」(Downの略)で、「DUUDDDU」みたいに書いていく。リズムとか音の高さの違いとかは全部無視してしまう。

こんないい加減な方法でメロディーが見つかるのかと私のような素人はいぶかってしまうのだが、そうでもないようなのだ。Musipediaの解説によれば、1975年に発表された論文の中で、Parsons Codeを使ってある程度のレベルでメロディーを表現できることが示されているのだという。これは驚くべきことのように思える。

Musipediaではテキストで直接Parsons Codeを入力することも出来るが、素人にはもっと簡単にJavaアプレットによって鼻歌を歌ってそれをParsons Codeに変換してから検索することも出来る。

Musipediaには現在クラシックからポピュラーまで、約3万のメロディーがデータベースされており、Wikipediaみたいに自分でメロディーを登録することも出来る(Wikipediaと直接の関連はないようだ)。

私はParsons Codeというものを知らなかったから驚いたのだが、こういう検索方法や考え方は他の分野にも応用できるかも知れない。少し異なるが、数式のサーチエンジンはできないだろうか?TeXで全く同じ公式を検索できると、全く異なる分野の研究が同じ数式によって結びつく可能性がある。(数学におけるリーマンゼータ関数の零点分布の研究が、全く同じ数式によって量子力学に現れるスペクトルの公式と一致したことで進展した例もある)。理学系のプレプリントサーバーには膨大なデータが既に蓄積されており、これは可能である気がするのだが、どうなんだろうか?

2005年12月19日

●無料会員登録を回避する「BugMeNot」は倫理的に是か非か?

無料で読める情報が増えたとはいえ、例えばNYタイムズなどでは世帯収入、国籍、年齢などを入力して無料の会員登録をしなければならない。特に海外の新聞社では無料会員登録制のサイトはますます増えている。これはプライバシーの侵害になると言えるのだろうか。ある人々はそう考えてこんなサイトを利用している。

[BugMeNot]
http://www.bugmenot.com/

BugMeNotでは会員登録制のサイトで自由に利用できるユーザー名とパスワードを一般に公開している。この情報を使えば例えばNYタイムズでも自分の個人情報を入力しなくても、他人の情報でログインしてコンテンツを読める。こうして自分のプライバシーを保護しようと言うのだ。

BugMeNotのこの方法では一部問題が生じている。例えば有料コンテンツを提供しているサイトの場合は一種の「窃盗」になってしまうことが指摘されている。これは深刻な問題だ。

もっと根源的な問題となるのは、BugMeNotみたいな方法が普及すれば、企業は読者の役に立つ適切な広告を表示できなくなり、結果としてコンテンツ企業の経営が傾き、われわれもまた良質のコンテンツを無料で読めなくなる、という大きな問題だ。

しかしここで問題が生じる。それではFirefoxやGoogle Toolbarなどが提供しているポップアップブロッカーはBugMeNotと同じ程度倫理的に問題があるのではなかろうか。ポップアップ広告もコンテンツ企業の重要な広告収入減となっているのであり、それを勝手に抑止することはよくないのではないか、と考えることも出来る。

一見、BugMeNotの手法は怪しげに見えるが、倫理的に是か非か、を考えるとき、実はそんなに単純、簡単な問題ではないことも見えてくる。プライバシーと広告の問題は難しい!!

結局のところ、BugMeNotのようなサイトを繁栄させたのは大手新聞社があまりにも多くの個人情報を収集し過ぎたためではないだろうか。私もやはり抵抗がある。その点、日本で人気を集め始めている「Gyao」などはほとんど情報を集めていない。郵便番号や年齢層が分かる程度の質問だったらプライバシー侵害を気にせずに答えてもいいと思う人は多いと思う。こういうノウハウは今後ますます重要になってくるだろう。

2005年12月15日

●良い評判、悪い評判を一覧できる「Opinmind」

Googleなどのサーチエンジンでは評判の善し悪しにかかわらず、単にアルゴリズムによってランキングが決定される。だから時々いたずらでとんでもないページがトップに来たりする。これは現在のサーチエンジンの大きな弱点かも知れない。そこでおもしろいのが今回紹介する「Opinmind」。

[Opinmind]
http://www.opinmind.com/

一見サーチエンジン風だが(一応サーチエンジンでもあるんだけれど)、検索した内容について良い評価、悪い評価をしているページを分けて表示してくれる。

例えば「Google」について検索してみるとこんな風になる。左が良い評判、右が悪い評判。

Googleについて良い評価をしているサイトが1200くらい、悪い評価をしているサイトが450くらいあることが分かる。まあ大体こんな所だろうという数字ではないだろうか。

評判につながる言葉(例えば良い、悪い、ダメ、最高など)と検索語句との関連によってランキングしたり比較したりする試みはもっとあって良さそうだ。例えば価格.comなどの価格比較サイトにこんな機能が付いていると直接購買につながり、ビジネス的にも良さそうだ。

2005年11月28日

●ギークのための楽で"ほぼ"確実なヒアリング上達法

コンピュータの世界で生きていくのに英語はますます重要なスキルになってきてはいるが、もっとも楽にヒアリング力を上達させられる方法がある。好きなことなら何時間でも腰を据えてやっていられるというギークの特長を生かすのだ。英語力と言ったって、要はコンピュータ用語が理解でき、ギークな人たちの話し方が感覚的に分かればよいのだ。このレベルの会話を習得するのに最も適したと言えるかも知れないコンテンツがある。NerdTVである。

[NerdTV]
http://www.pbs.org/cringely/nerdtv/

これはPBSの著名なITコラムニスト、Robert Cringely氏が主催するインタビュー番組で、全てのインタビューをPodcastしている。

登場するメンバーがなんといっても凄いのだ。例えばSun Microsystems共同創業者でBSD界で有名なBill Joy、Internet Archive創業者のBrewster Kahle、出版社オライリーの創業者Tim O'Reilly、そして表計算ソフトを世界で初めて開発したDan Bricklinなど。今後の出演者として予定されているのはApple共同創業者のSteve Wozniak、Google CEOのEric Schmidt、Linux開発創始者のLinus Torvaldsなど。普段は書物でしか見ない人たちの肉声が聴ける貴重な機会だ。

こうした人たちへのインタビューが音声だけならMP3、OggVorbis、AACファイルで、また映像付きなら(100MBくらいだからちょっとファイルサイズは大きいけど)mp4ファイルで無料でダウンロードできるのだ。

Podcastのフィードはこちらから。フィードしてもらうファイルの種類を選べる。
http://www.pbs.org/cringely/nerdtv/rss/

これまでのインタビューのアーカイブはこちら。
http://www.pbs.org/cringely/nerdtv/rss/

同じ英語を聞くにしても、日本語でも理解していないような経済用語や政治用語をニュース番組で聞くよりも、自分が興味を持っている分野の英語を集中的に聞くのが一番効果的だ。iPodに入れておいて通勤、通学途中に何度も聞いていれば耳が慣れてくるはずだ。

もう一つこのインタビューがヒアリング上達方法として便利なのは、全文のテキストが公開されていることだ。Transcriptというのがそれだ。うまく聞き取れなかったところはあとでTranscriptを見ることでゆっくり解決することが出来るのだ。

このNerdTVのコンテンツはCreative Commonsライセンスで配布されており、ある条件の下でコンテンツを再利用できる。その条件とはRobert Cringely氏の著作であることを明記してNerdTVにリンクすること、そして派生作品を販売することは許可されないという2点である。

さあ、これを聴いて英会話力をさっさと身につけてしまおう!